#10 養蚕農家訪問記〜JICAファーマーを訪問〜

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ワナッカム!

インドタミルナードゥ州ホスールにて養蚕農家への知識・技術普及活動に取り組んでますあらちゃん(@kazuuuyama)です。

養蚕農家への訪問記録です。

11/7(月)から11/11(金)までインドで活動するコミュニティ開発隊員6名が南インドに集まり「分科会」を開催しました。

分科会の中でインドカルナタカ州トゥムクール(Tumkur)にいる「JICAファーマー」を訪問してきました。

トゥムクール(Tumkur)の位置はこちら。

JICAファーマーとは

JICAファーマーとはJICAの技術協力プロジェクト時代に技術普及のチャンネルとして選定された地元の養蚕農家です。

例えば、住居から独立して専門の飼育施設があり、新しい桑種の品種による桑園を持つなど、JICAが導入を目指した新養蚕技術の飼育環境や基準を満たした 「選ばれた」養蚕農家のこと。

第2期(1997〜2002年)は、中央政府傘下の各研究機関を拠点として、技術の実証、展示のために、各州の技術普及センター(TSC)を中心に、10の地域をモデル蚕糸業集積地(クラスター)として選定し、域内の先進農家をモデル農家にして二化性養蚕の技術指導をおこなった。こうした農家がのちに、「JICAファーマー」と呼ばれるようになった。

引用元:「シルク大国インドに継承された日本の養蚕の技 山田浩司著」P54より

今回訪問したJICAファーマーであるスワミーさんは、1999年にJICAファーマーに選ばれて桑園0.5エーカーで二化性養蚕を始めましたが、現在では約10エーカーまで規模を拡大しています。2015年は5回の飼育で年間約8,600kgの繭を収穫。収入もざっと考えて400万円以上。

まさに日本とインドが産んだ二化性養蚕農家のモデルです。

息子さんも大学へ送り出し、そしてまた彼も「JICAファーマー」です。住んでいる家も設備が整っており日本にあっても遜色は全くありません。

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コミュニティ開発隊員6名とJICAファーマであるスワミー氏の息子さん(真ん中)

いざ視察。

スワミー氏は2006年より種マユ生産に取り組んでいます。

種マユ生産とは、かけあわせに使われる各系統のカイコの「原種」を飼育することである。異なる系統の原種をかけあわせてできる交雑種のカイコの飼育と比べ、より厳しい蚕病防除措置や温度、湿度の管理、与える桑の葉の品質維持が求められる。

引用元:「シルク大国インドに継承された日本の養蚕の技 山田浩司著」P144より

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足消毒用プール

種マユ生産農家であるスワミー氏の買い取り相手は政府になります。通常の養蚕農家(糸マユ生産)とは取引相手が異なるんです。糸マユ生産に比べ取引額も安定しており収益性も高いです。今回の視察では高品質のマユを生産するための工夫を多く発見することができました。

稚蚕飼育所の入口の前には足を消毒するためのプールが設備されています。Sanitation poolとでも言うのでしょうかね。より厳しい蚕病防除措置が要求される種マユ生産において病気を外部から持ち込まないための「当然」とも言える設備ですが、今まで養蚕農家を訪問してきて見たのは初めてでした。それだけローカルな養蚕農家にとってはこの「当然」が全くできていないということを改めて実感。

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蚕種のラベル

稚蚕を育てるためのケースにこのように必ずラベルが貼られて管理されていました。入口のドアもテコの原理を利用した自動ドアになっていました。

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乳牛さん

養蚕以外にも乳牛を飼育していました。絞ったミルクは商業用として利用され、また牛糞は桑園への肥料として利用しています。

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桑の収納スペース

三齢期以降のカイコの飼育所を覗くと切った桑を収納するスペースが設けられていました。このスペースには水を張ることができ、枝の切断面を下にする(生花の様なイメージ)ことにより切った桑の鮮度を保つことができます。

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カイコの飼育所

スペースも十分に保たれ通気性や日当たりも良好な飼育所です。蝿対策の窓に張られているネットはプラスティック製のものを利用し二重になっています。私が見てきた養蚕農家は基本的には金属製のネットを一枚だけ利用していましたが、安価なプラスティック製のネットを利用することでコストを抑え、かつどちらかが破れた場合でも二重にすることによって片方のネットを張ったままネットを交換することができ、蝿の侵入を防ぐことができます。

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美しい桑園

広大な桑園ではNatural Farmingが実践されていました!これも初めてインドで見ました!

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切り終えた桑の枝やココナッツを…

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炭として再利用!

切った桑の枝や木やココナッツの殻は燃やして炭にして、寒冷期に飼育所を保温するために利用します。これもコスト削減のために行っている工夫です。

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回転まぶし

収穫後のオフシーズンに訪問したので実際のカイコを育てる様子を見ることはできませんでしたが、回転まぶしを見ることもできました。※閉まっていたものをわざわざ出してきてくれた。

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立派なお家

インドにおける養蚕農家の理想型。そんなモデルを見ることができたとても貴重な機会になりました。

見えない部分の重要性

広大な桑園・整備された機会や設備・最新の技術。

今回の訪問で一番感銘を受けたのはそれらの裏に隠れている工夫や知恵です。

例えばそれはテコの原理を利用した自動ドアであったり、安価なプラスティック製のネットを二重に使用したハエ対策、切り終わった桑の枝やココナッツの殻を利用した炭作り、ラベル付けされ管理されているカイコなど。

これらは決して中央蚕糸局(CSB)・州蚕糸局(DOS)スタッフによって教えられたことではありません。

全て農家自身が考え、実行して、効果を体感したからこそ行なっている独自の工夫や知恵です。

言い換えれば私が普段関わっている任地の養蚕農家にもできること。

活動の可能性が広がった気がしてとっても嬉しかったです。

では。

Today’s song

「光」RADWIMPS…アルバム楽しみ!

記事を書いている人


名前:あらちゃん
年齢:28歳
出身地:静岡県
静岡県立大学国際関係学部卒。若者支援団体「若者エンパワメント委員会(YEC)」OB。エンパワメントの重要性を認識。
卒業後は人材派遣会社(東証一部上場)にて、製造工場での現場研修の後、営業・採用・労務管理として3年間勤務。青年海外協力隊へ応募し登録から合格へ。27年度3次隊。駒ヶ根訓練所。インドにて養蚕普及活動に携わる予定。

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