ワナッカム!
忙しさとだらけで更新できてなかったこと。記録していきまーす。
※個人的な個人の意見なので悪しからず!
要請内容
以前の投稿で私の関わる要請について少し触れました。
インド事務所調整員より私の要請の背景などについて説明を受けました。
事務所によっては調整員より話がないこともあるらしいのですが、今日の話を聞いて自身の要請についてより明確になりました。
青年海外協力隊に晴れて合格すると「要望調査票」たるものが手元に届きます。これは自身の関わる要請の活動がざっくりまとめられているものです。ちなみに私の要請理由・背景は
JICA技術プロジェクトの結果、対象地域は農家や製糸業者の平均収入が約1.4倍向上した。CSBはこの成果をほかの地域 に広めるため、国内17州の養蚕農家を50組織に分け、組織単位での普及を進めている。しかし、各組織に属する農民数 が多く、農民一人ひとりが技術内容を理解するにはトップダウンの普及活動だけでは不十分で、農民が自助グループを形 成し、農民間での技術移転を進める必要性が出てきた。CSBや実際の普及活動を実施している州政府養蚕局には、養蚕 の専門知識を身に付けた研究者がおり指導できるが、普及を効率的に進めるための知識や手法を持ち合わせた者が少な い。そこで、普及活動を進める上での支援が求められJVの要請に至った。なお、ほか3か所から同様の要請が出され、JV が派遣される予定で、彼らとの連携も期待されている。
予定活動内容は、
JVは.養蚕研究者や普及員とともに村を巡回し以下の活動を行う。
1. 養蚕の知識や技術を普及するワークショップや研修を行う。
2. 農家の現状やニーズを把握し、農民の組織化を進めるための計画策定や自助グループ形成のための支援を行う。
3. 不定期にCSBや州政府養蚕局の幹部及びほかの地域で同様の活動を進めているJVたちと意見交換し、よりよい普及 手法を探る。※養蚕に関する専門的知識技術は必要ない。
と書かれていました。改めてCSBというのは「Central Silk Board」という中央政府機関です。
ちなみにこの私が関わる要請は「グループ型派遣」という分類になります。他の地域・州(タミルナドゥ州・アンドラプラディッシュ州・カルナータカ州・ウッタラカンド州)に同じ要請の隊員がいて、その隊員たちと年に数回ミーティングを行って情報共有や進捗報告をします。先に挙げた3つの州はインド南部に位置しており最後に挙げた州は北部。現時点ではタミルナドゥ州に1名、アンドラプラディッシュ州に1名(2名になる予定)、カルナータカ州に1名、ウッタラカンド州に2名の5名JOCVがいます。ただ南と北では2000km以上離れているっていうね…要請は同じでも気候が大きく異なるので蚕の種類も違う…それに集まるのも一苦労です。
要請のVision
JICAは青年海外協力隊事業だけでなく他にも様々なプロジェクトを実施しています。私が今いるインドにあるJICAインド事務所も同様に様々なプロジェクトを実施しています。
私の要請(JICAボランティア事業)は数あるセクターの中でも「農業開発/農村開発」に属しています。これが私の要請の根本になります。そして何が目的なのか?
「農民の収入向上を目指す」
これが大きな目標(Vision)になるわけです。私の場合だと「養蚕」というツール・分野でこの目標を達成するために活動をします。他のセクターだったらた例えば「灌漑施設の整備」「安定した生産・供給ができる農作物を多様化する」とかでしょうね。インドでは未だに6割以上の人口が農業に従事しています。つまり現時点では農家一人一人の収入が上がれば国の豊かさにつながるっていう考えです。
要請の活動
こんな要請ですが、隊員に求められている活動・目標はなんなんでしょうか。それは、
- 農家自身で話し合えるグループを形成すること。
- 課題発見/提案/解決というシステムを作り上げること。
- 内部・外部をエンパワーメントできるグループを形成すること。
こんなことが求められています。もちろん対象となるのは「養蚕農家」。
私が配属されるCSBというのは養蚕の研究機関です。研究機関なので地域(インド)にあった養蚕のスキーム(病気に強い蚕を育てる、環境に適応できる、耐暑性に強い蚕を育てる、蚕の品種改良、高品質の生糸の生産、栄養価の高い桑の栽培、etc)は15年以上JICAによる技術協力プロジェクトが行われたこともあり持っています。
ただし、その知識やスキームを農民に広める技術は乏しいのです。約12億人の人口に南アジア随一の国土面積があるんですからそれはうまくいくわけないですよね。州政府の持つ権限も強く、「州」という「国」が20個ぐらいある感じです。
私たちJOCVにできることは、
- 農家と行政(CSB) を繋げる。
- 農家同士の繋がり(横の繋がり)の形成。
- 農家グループのスキルの均一化。
- 情報共有の「場」の提供。
- 自助グループ(Self Help Group:SHG)の立ち上げ。
- 話し合いを実施するためのシステム構築。
- SHGのモチベート。
とか。いくつかワークショップも実施します。そしてこれらを実施するにはいかに行政(CP)を活動に巻き込むかもとっても大切になりますね。行政側の意見を現場(農家)に届けなければならなしですし、現場(農家)の声(意見/ニーズ)を行政に届けなければならないです。
横の繋がりっていうのも言葉では簡単には言えますが、実際は「家族(血縁関係)の繋がりが強く、近所の繋がりが弱い。」と言われるインドにおいては横の繋がりを築くのって古くからの慣習も絡んだらとっても骨の折れる作業ですよね。もちろん村に行けば行くほど「カースト」という大きな存在もあります。
ただ私たちの活動が機能することで
→行政と農家/農家と農家が繋がる。
→情報共有により適材適所に資源を活用できるようになる。
→行政からの適切な支援や農家グループ(SHG)独自の思案により養蚕技術が向上する。
→農家の収入の向上。技術・資金の還元。
→SHGでの情報共有…
みたいにならないかなーってぼんやり思ってます。
農民から上がってくる課題が「お金がない」「土地がない」「設備が古い」とか…そういったことは容易に予想できますが、私たちがすべきアプローチはお金などの一過性のものに頼ることではないですしね。
私たちJOCVに専門的な知識が求められてません。専門知識と技術力以外のスキルで対処していくしかないのです。もちろん養蚕に関する基礎知識・用語の理解は必須ですけど!ちなみに私は4/26から約1か月間に渡りCSBの研究施設(Central Silk Research & Training Institute:CSRTI) で養蚕研修たるものがあります。
Home | Central Sericultural Research & Training Institute (CSRTI), Mysore
実際に任地に行って活動できるのは5月末ぐらいからなんです。
私の活動
5月末からの活動開始に向けて今できること。
- タミル語習得
- 養蚕に関する基礎知識習得
- 養蚕に関する専門用語理解
- インド人理解
- 健康管理
要請において求められていることはあります。でも求められていることが必須ではないと思っていますし、今後の自身の活動の終着点が「Vision」に繋がる蜜の上にあればいいと思います。いつか書いたような気がしますが、あくまで養蚕はツールであり資源のひとつです。他に有効なツールがあればそれを利用するし、もしかしたらそれが養蚕でないのかもしれません。(もちろんこの要請から全く外れたり活かせないことはしないつもりです。笑)
今こうしてblogを書いているのは自分が活動で悩んだ時に、困難にぶつかった時に振り返って「今」の思いをしっかりを確認するためです。自分の立っている地点がVisionに繋がっているか、この記事を客観的に見て確認するためです。
養蚕について知りたいって人(いるのかそんな変態は…)は、インドでの養蚕の歴史やJICAが実施したプロジェクトについて詳しく書いているこの本を読んだらいいと思います。
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ちなみに私たちのことをJICAインド事務所では総称して「カイコ隊員」と呼んでおりましたとさ。