ワナッカム!
インドタミルナードゥ州ホスールにて養蚕農家への知識・技術普及活動に取り組んでます、あらちゃん(@kazuuuyama)です。
かなり前のことになってしまいますが任地近郊にある繭市場(Cocoon Market)を視察してきました。
養蚕農家が収穫した繭がどのように取引されていくのかを学ぶ良い機会でした。
繭市場視察〜Kolar Cocoon Market〜
視察で訪れたのはKolar Cocoon Market(コーラル・コクーン・マーケット)。
私が担当しているエリアの農家さん達も繭を売る際に利用しているマーケットの一つでもあるコーラル・コクーン・マーケット。

二化性カイコ(Bivoltine)の繭@Kolar Cocoon Market
私が担当しているエリアにいる農家はその時々の繭の市場価格によって利用するマーケットを決めています。繭の市場価格の情報は州蚕糸局(Department of Sericulture:DoS)のスタッフから、中央蚕糸局(Central Silk Board)のホームページから知ることができます。
Reeling Cocoon Prices » Central Silk Board
「ネットなんて田舎の農家が見れるのかよ!」って思うかもしれませんが農村部でもスマホ持ってる農家さんは意外にいるんですよね。テレビないのにスマホは持ってるとかざらにあります。インドあるあるです(笑)
繭の競売
マーケットで繭は競売(オークション)にかけられます。
その日の繭のスタート価格を州政府職員と織物業者が設定し、市場に出された繭の品質を見てディーラーたちが買い取り値段をいわゆる「競り」のスタイルで言っていきます。そして一番高い値段を設定したディーラーに繭が買い取られるわけです。

オークションの様子。右側がディーラー、左のシャツだけ見えてる人が州政府職員。

オークション中。CP曰くディラー(織物業者)はムスリムが多いらしい。
繭価格は日によって、市場によって異なります。なので収穫毎に利用するマーケットを変える養蚕農家が出てくるわけですね。
また繭の種類によっても価格が異なり、Cross Breed(CB:交雑種の繭:上の写真の黄色い繭)だと大体1kgあたり400Rs前後、Bivoltine(BV:二化性カイコの繭:下の写真の白い繭)だと1kg500Rs前後で取引されます。
絹織物を織る際、織物の縦方向に通っている糸を「縦糸(経糸)」と横方向に通っている横糸(緯糸)」と言うんですが、縦糸には太さが均一で強い二化性カイコの糸が重宝されており、取引額も交雑種に比べて高いんです。

繭のBid Slip(入札票)
取引された繭の情報はBid Slip(入札票)に記載されます。
入札者(バイヤー)の名前、繭の種類、値段、日付、品番(ロットナンバー)などなど記載され最後には日本でいう「印鑑」の代わりに「母印」を押します。
入札額は銀行に入札票を持っていくことで口座に振り込まれその際にはマーケットの使用量が入札額の1%引かれます。
バイヤーから直接お金を受け取ることもできるのですが、受け取りにかなり時間がかかるらしくあまり利用している養蚕農家はいません。
マーケットを介さずに個人間で取引ができれば繭の輸送費やマーケット使用量を削減できるのでは何て思っていましたが、養蚕農家側の安定した質と量の繭の供給やディーラー側の支払いの問題など課題は多くありそう。
市場調査
一つの繭市場に行ったら他の大きな繭市場にも行ってみたくなりました。
養蚕農家に対して基礎情報調査を実施してきた中で名前が挙がった繭市場についてはいかないと。それぞれの繭市場で利用する養蚕農家やディーラーの特色もありそうだし、新たな活動に繋がるかもしれないし。
今後も継続して市場調査をしたいです。
では。
Today’s song
「Never Catch Me (feat. Kendrick Lamar)」Flying Lotus